「自然農法」とはどんな農法なのか?「わら1本の革命」を読んで思ったこと

読んだ本

「百姓」とご自分の事をそう呼ばれる。時代なのか。ただ著者の「百姓」にはとても素敵な響きとともに何か深いものがある。
「畑を耕さない」「無肥料」「無農薬」「無除草」の自然農法を実践された福岡正信氏とは。

「自然農法家」福岡正信氏とは

自然農法を提唱された農業家である。

横浜税関植物検査課に勤められた後一時帰農、自然農法を始められる。
この時は親から引き継いだミカン畑を放任して、ミカンの木をすべて枯らしてしまう。
お父様の勧めもあり、高知県農業試験場に勤務
1947年 再び帰農。自然農法一筋に研究を開始。
1975年「自然農法・わら一本の革命」を出版。
1988年 – マグサイサイ賞「市民による公共奉仕」部門賞、インド・デーシコッタム賞など受賞。
1997年 – 第1回アース・カウンシル賞受賞(日本人同時受賞者に竹下登、平岩外四、原田純)。
2008年 – 逝去

ご存命の時は自然農法の普及に邁進され、素晴らしい実績を残されているが、序章に

私の自然農法への四十五年の道は、そのまま人間の復活をかける神への参道であったというよりは、自然から転落してゆく愚かな男の彷徨いの過程でしかなかった。この書は、自然に還れるものなら還りたいと苦悩してしてきた一人の百姓のボヤキ記でしかない。
百時を語るも、一時を語りえず、何一つ残すことのできなかった男の懺悔録である。

引用「わら1本の革命」福岡正信

と、ある。

農業試験場での科学を絶対とする職場にいらしていたからこそ、何かの矛盾に気づかれ百姓となられたのか。「自然農法家」と肩書をつけてしまうこともはばかられる。


終戦の日になりましてね、その日から、あらゆるものが自由になった気がして、私も、やれやれという気持ちで郷里に帰り、改めて百姓を始めました。

引用「わら1本の革命」福岡正信

著者と私はちょうど50歳年齢が違う。戦争が終わり自由になって、新しくまた農業を始めた時のお気持ちはどうだったのだろうか。希望にあふれていたのだろうか。

何もしない農法を目ざす

私はただひとすじに、何もしない農法を目ざした。ああしなくてもいいのじゃないか、こうしなくてもいいのじゃないか、という考え方、これを米麦作りとミカン作りに徹底的に応用した。

引用「わら1本の革命」福岡正信

自然農法は何もしないが前提で、本当に必要なものを探していく。そうすれば百姓も楽になると

昔の農家さんは本当に大変なイメージです。なので楽に収量を上げるために、いろいろな農薬や化学肥料なども開発されてきたのでしょうか。これをすればたくさん野菜ができるし、作業も楽になるみたいな感じで。ところが実際はどうだったのでしょうか

60年代~70年代は公害がたくさん発生していました。最も身近な「食」においても合成保存料や、人工甘味料、合成着色料などがたくさん使われ、食品公害問題もありました
そんな中、農薬や化学肥料などを使わずに自然の野菜を作りたいという思いになられたのも、当然なのかもしれません

30年かかって、やっと、何もしないで作る米作り、麦作りができて、しかも、収量が、一般の化学農法に比べて、少しも遜色がない、というところまで来た。

引用「わら1本の革命」福岡正信

著者はその農法を公開し、テレビの取材を受けたり、講演の依頼などもたくさんあったようです。

また東京の生活協同組合と取引をされたこともあるそうです。生協というところはもともと安心・安全なものを購入したいという思いから始まったとところです。

著者は最低の費用と労力で作っているのだから、安いほうが喜ばれると思って安くした。さらに、ミカンを入れていた段ボールもなるだけ安いほうが良いだろうと、無地の箱にしていた。
ところがはじめは大きさがそろってないとか、見かけが悪いとかいろいろ苦情もあったと。さらには、段ボールが無地だったりしたものだから「クズばかり送ってきているのか」と言う人まで出てきたと。

消費者もミカンが生っているところ見たことも無いのだから、ミカンはつやつやなのが良いと思っていたし、大きさも揃っているのが良いと思っていた。
今ならわかってきたこともあって、つやつやはワックスかかっていたり、同じ大きさなのは単純に大きさを選別しているとか。
本当はもっと早くに教えてもらえば、そうなのかと納得して買うこともできたでしょうに。

でも、結局のところ値段がとても安かったし、味は最高に美味しかったという事で評判になったそうです。

大事なことは、美味しくて、安全で、やっぱり安い!!
見かけなどそんなに大した話ではないのにね

でも、今でもなぜ自然農法の野菜はあまり見かけないのか、あっても有機農法だったりして、しかも有機というだけで一般の野菜よりかなり高いのです。なぜなんでしょうね。
ちなみに有機農法は農薬を使っても有機といえます。もちろん指定の農薬だけですが。

残りの時間も大切にしたい。「お願い」というあとがき

この頃私は、「自分の年は今百歳、二百歳」と思い込むことにし、元気なうちに早く死ねるようにと、心がけている。そのためには、何も約束事をせず、昨日を忘れ、明日を思わず、日々の仕事に徹して、わが足跡を少しでも残さないことだと思っている。

引用「わら1本の革命」福岡正信

晩年は、山小屋にこもり、農園も非公開にしてどなたとの約束もされなかったそうです。それは

「残りの時間を大切にしたいから」

自然農法という今までと全く違うやり方を提唱していたのだから、さぞ大変だったことは容易に想像できます。人と違うことをすると特に日本では大変ですよね。さらには昭和の話です。
いろいろな体験談も交えながら、著者の人生論がいっぱい詰まった本でした。

私も人生100年生きられたとしても、とっくに半分以上は過ぎてしまいました。
「過去を悔いず、未来を憂いず、今日を精一杯生きる」
これが出来たら本当に最高の人生のような気がします。

今日も幸せ!!じゃね~

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